ウニ養殖の私見

 ふるさと納税制度は「応援したい市区町村などに、個人の方が2,000円以上の寄附を行った場合、個人住民税所得割の約2割を上限として、個人住民税と所得税の控除が受けられる制度です。「のぼりべつを応援したい!」「ふるさとのぼりべつのために役に立ちたい!」という想いをこの制度を活用して形にしませんか。」(登別市ウェブサイトより)
 概要はご存知のとおりですが、最近は各自治体とも競争が激しく、ネットショッピング的様相を呈してきました。
 登別市の場合、この事業については堅調に推移しており、令和7年度の予算額は15億円を見込んでおります。その返礼品の約6割(約9億円)はウニ(エゾバフンウニ、キタムラサキウニ)です。「天然生うに」を売りとしておりますが、この事実は登別市民にはあまり知られていないようです。
 返礼品の主力である天然ウニについては、調達から加工まで民間水産事業者に任せており、本市の沿岸部にウニ種苗は放流しているものの、昨今の気候変動、海水温上昇、赤潮発生等、従来の天然物に依存するのはリスクが高いように感じております。令和3年9月に根室管内から日高管内の太平洋沿岸で広範囲に発生した赤潮(カレニア・セルフォルミス)により、ウニやサケ、ツブ類などの多くが死滅し、水産事業者に大きな被害をもたらしました。
 ふるさと納税の返礼品を天然ウニに依存するのは、上記の理由により常にリスクが伴いますが、全体の6割を占有する新商品の開発は難しく、いかなる場合においても供給を途絶させない施策が現実路線であると考えています。
 議会での一般質問、予算・決算審査等で、主力返礼品の安定供給を目途に、今後はウニの養殖の可能性を視野に入れた官民での研究、実証実験に着手すべきであると提唱しております。道内には当該事業の先行自治体等が多数あり導入についてそれほどハードルは高くないと感じています。
 登別漁港は国直轄漁港(第三種漁港)で、国費が投入され港区の整備が行き届き清浄海水導入施設もあります。これらを活用しての陸上養殖実験、漁港内の静穏域を使っての蓄養実証実験を行ってはどうかと提案しておりますが、行政も事業者も「笛吹けども踊らず」といった状態です。

 誰もやらないのであれば、自分が率先してやったほうがいいのかも知れません。