新しい市役所庁舎は高台に建設すべきと提言します。

 私の住む登別市は北海道においては比較的温暖な気候ですが、地理的な特徴として降水量の多い地域となっています。市内には鷲別川、幌別川、登別川と3本の河川があり、いずれも太平洋に注いでおりますが、中でも幌別川が過去において何度か大規模な氾濫を起こしており犠牲者も出ています。
 平坦地の海抜が平均して3~4mの地帯が海岸線に平行して続いており、海岸線より、内陸部の方が海抜が低いのが登別市全体の地理的特徴です。登別市の行政の中心である幌別地区(中央町)も、元来低層湿原体で、泥炭地(北海道では「ヤチ」と呼びます。)水捌けが悪い土地でした。昭和36年の水害では、幌別川に架かる国鉄の橋脚が流失し、昭和58年9月の豪雨時は中心部より約1㎞東側のオカシベツ川が氾濫しその濁流が中央町地区に流れ込み、市役所庁舎に直接の被害はなかったものの、周辺には流木や材木店の資材が流出し行政機能は一時マヒしました。このように地理的特性、過去の状況から見ても水害に対して脆弱性評価の低い地域であると言えます。
 令和2年4月に内閣府から新たな津波想定予測が出され、最大級の津波が押し寄せた場合、市役所本庁舎は従来の予測(4m未満)から約6mの浸水に見舞われるという予測に市民は大きな衝撃を受けました。これは登別市の平野部にある市街地のほとんどが浸水することを意味しています。数百年~数千年単位で発生する地震・津波よりは、近年の異常気象による大雨・洪水が起こる可能性の方がより高いものと考えます。降雨のシーズンは年に一度は必ず訪れ、ここ数年幌別川、来馬川は何度か警戒水位を超えています。これら河川の、特に来馬川の堤防が決壊した場合、中央町は広範囲にわたり水没し、大きな被害に見舞われます。災害がなかった今までが幸運であったと考えるべきでしょう。

 そういった意味において、防災拠点の要衝となる新しい市役所の本庁舎は浸水しない高台に建設すべきであると強く提言します。