自然淘汰

 私のホームページを見る方は少なく、このお知らせを読んでくださる方はさらに少ないと思われますので、今回は自身の振り返りの意味で少々お固い内容を記述します。
 市議会議員の選挙時の公約として「活力ありまちづくりを進めます」、「福祉に力をいれます」「高齢者にやさしい街にします」「教育を充実させます」的な内容を各候補が自身の名前と共に連呼する光景は、4年に一度繰り広げられるおなじみの風景です。もちろん私も選挙活動を行います。お恥ずかしい話ですが、最初の選挙の時はまず当選することが最優先で、議員としての権利や責務などはそれほど深く勉強しておりませんでした。
 実際議員になり、わかったことは冒頭に書いた、選挙時に各候補が口にする「○○を充実させる」的なことは議員はできないということでした。では誰がこれらを行うことができるのでしょうか、これはずばり「市長」及び市の執行部です。
 地方自治体において市長は「執行権」という絶大な権限があり、福祉や教育を充実させるのも、道路や橋、大きな公共施設を建設するのもすべて市長の考え一つで自由に行うことができるのです。(「自由に」とは財政に余裕のある自治体の場合の話ですが)。
 それでは議員の役割な何かということになります。市長(執行部)が提案する各種の政策、お金の使い道は適正であるか監視することや、ルール作り、見直し(条例の制定または改廃)が主な役割です。これを「二元代表制」といい、市長とは適度な緊張関係でお互いをけん制しある意味、市長の専制政治を食い止める役割をもっているのです。
 登別市の場合は当初予算は約220億円ですが、自由に使えるお金はその半分110億円ほどです。しかしそのほとんどは人件費、扶助費、公債費という義務的な支払いに消えていきますので、市長もお金の使い方には毎年難しいかじ取りを強いられています。それを理解しながらも、その政策が登別市民のためになるかどうか、税収が上がるための施策は考えているのか、また予算の配分を質したり、その使い方は適正であったのかといったことを年2回、徹底した議論を行います。(予算・決算委員会)これらはあまり市民の皆さんに知られることはありません。議会中継もおこなっており、議場で傍聴もできますが、内容が専門、且つ細微で長時間にわたるので、傍聴席にくる市民はほとんどおりません。

 議員は選挙の前にしか挨拶にやって来ない、選挙が終わったら、議員の姿を見たことがない、普段何をしているのかわからない等の声を多く聞きます。これは事実でしょう。
 市長(執行部)と対等に政策討議をするには、各種法令の理解やそれなりの知識が必要です。私は議員になって初めて多くの方面の勉強が必要であることを痛感しました。議員には年4回の本会議で「一般質問」という場で自由に質問する機会が与えられますが、自身の発言や提言に裏付け(法令、学術的根拠)がなければ執行部側に軽く見られることを知りました(態度や言動には出しませんが)。
 議員として生きていくためには日々たゆまぬ努力が求められます。姿は見えなくても、この姿勢は自然に市民にも伝わるようです。

    自戒を含め、これらを怠る議員は自然淘汰されるだけです。