Fiction

Fiction( フィクション)の定義は、「架空の出来事を想像的に描いた物語」とのことですが、ここでひとつの物語を思い付いたので記述いたします。

 よしおの旅
『よしおは、真面目だけが取り柄の気の弱い青年です。小さなことにも気になる性分で幼少のころから神経性の下痢に悩まされておりました。
 ある日、よしおは会社の同僚に誘われて4人である島へ旅行に行きました。そこでレンタカーを借りましたが島内のレンタカーのルールは緩いのか、普通乗り出す際に行われるスタッフと傷の有無の確認はなく、借りた車にはすでにバンパーに小さな塗装の剥げがありました。
車で島の観光スポットを巡りましたが、ある土産店に入ろうとバックで駐車した際、杭にバンパーをぶつけ、バンパーの塗装が剥がれて新たなキズができました。
 運転者は「レンタカー会社に言ったほうがいい?」、助手席者は「言わなくていいんじゃね」と言いレンタカーはそのまま返す流れとなり、後席にいたよしおは「一応報告したほうがいいのでは」と言いましたが意見は無視されました。ここで意見を対立させてもその後が気まずい雰囲気になることを危惧し、よしおはそれ以上何もいいませんでしたが、本性を垣間見る思いがしました。
 車両返却先の男性社員は車の外装を特にチェックすることもなくレンタカーはそのまま返却されました。気が弱く小さなことが気になるよしおです、人の持つ常識の尺度も様々です、しかし「微細なる瑕疵とはいえども、借りたものにキズをつけ、何も言わずにそのまま返す。」
 これはよしおの常識では考えられないことでした。その後も指先に刺さったトゲのようにその事が気になり、旅を心から満喫することはできませんでした。そして「今後このメンバーで旅に行くことはあるまい」そう考えるよしおでした。』

 近年はDiversity(ダイバーシティ)多様性の名の下に、いろいろな考え方があり、それらを認め合うことは大切なことだと言われております。ただ、考え方の違う人たちとは尊重はしながらも一定の距離を置いたほうがお互いの幸福ではないかと感じる次第です。