あれから9年

 新型コロナウィルスのまん延で世界中が震撼している現在ですが、東日本大震災から9年が経とうとしています。各被災地においては復興が進み、地域の格差や住民が戻らないという課題はあるものの着実な進展がみられます。
 それに引き換え、福島第一原子力発電所の廃炉作業については高い放射線量に阻まれなかなか進んでいないのが現状です。
その理由は高い放射線量であることは誰もが知りうる事実ですが、事故の直接的な要因は非常用発電設備の水没です。しかも地下に設けられたことにより、津波であっさりと水没し発電できず核燃料の冷却機能を失ったことにより、燃料は炉心溶融物となり2,500℃以上という想像を絶する温度で圧力容器を溶け落ちることとなりました(メルトダウン、炉心溶融)溶け落ちた燃料はデブリとなり格納容器のコンクリート床に溜まっているとされています(メルトスルー)

 9年間注水冷却されているとはいえ高い放射線量を発しながらコンクリート床に長年残置されているデブリの現状に、分厚いコンクリート床とはいえ高熱高線量で浸食されないのか、また、床が浸食劣化し抜け落ちるとどうなるのか(メルトアウト)、実際に原子炉建屋の底で何が起きているのだろうか等、様々な疑念が湧きますがここまでにしておきます。

 政府から示された工程表では、完全に廃炉作業を完了するのは2041~2051年を堅持し、廃炉の本丸ともいえる1~3号機のデブリ撤去は21年から開始とされていますが、具体的なスケジュールは未確定のままです。
 高い危険を伴う撤去作業は、天文学的金額を費やしながら今後原子力発電の恩恵を受けない若い世代に託していくことになります。福島第一原子力発電所事故は終わっていません。地震、津波、噴火等地殻変動の多発する、ハイリスク地ともいえる我が国の地理的特性に原子力発電事業はそぐわないことは明白であり、再稼働など以ての外です。国内の原発はすべて廃止しドイツのように完全に撤退すべきです。