道具を大切に

 スポーツをテレビ観戦することは少ない私ですが、野球やテニスの試合中、スポーツ選手が、しばし何かミスをしたり負けた時など自分の思い通りにならなかった時、興奮のあまりベンチに戻って自分のグローブをベンチの床に投げつけたり、自分のラケットを地面に叩きつけ、または壊すようなシーンをしばし見かける時があります。
 そのような選手は外国人に多いような気がします、人種文化の違いと言ってしまえばそれまでですが私はしばし思います。道具を作るメーカーの技術者、職人さんはこの選手のために心をこめて製品を作っているに違いない、そして家族や友人にもあの選手の使っている道具は私が作ったのだと胸を張っていることと思います。その道具を選手が私的な激情に駆られ粗末に扱ったり、または破壊するシーンを見た時、職人や携わる人たちの心に去来するものは何であるか、心が痛みます。
 このような所業は選手本人の気は晴れるでしょうが観ている観客、視聴者、何より同じスポーツを行っている青少年に良くない影響を与え「トップ選手の○○がやっているから僕たち、私たちもやっていいんだ」と真似をすることも考えられ、スポーツマンシップなのか、モラルなのか、ルールであるのか、ペナルティとまでは行かないものの今後はこれらの行為に審判等から注意喚起をするシステムがあってもいいような気がします。
 古来より我が国には「八百万(やおよろず)に神が宿る」という考え方があり、私は40年以上スキーを続けておりますが、一つの道具を長年愛用していると確かにそのような感覚が感じられる時があります。ギア、道具は正しい使い方と定期的なメンテナンスを行っていればそのポテンシャルとパフォーマンスをフルに発揮するはずで、特に青少年選手を育成する指導者、コーチは道具と手入れの大切さを教えていただきたいと思います。

 それでもどうしても自分の道具や備品を破壊したい選手は自由ですが、どうか見えない所でやってほしいものです。