消費税の減税を唱えるのはいいけれど

 7月に参議院選挙が終わりました。その結果はご承知のことと思います。選挙期間中や公約の中で一部の党から出されていた、「消費税の段階的廃止、または5パーセント引き下げ、」などを看板政策として掲げているのを見るにつけ、それは本気で言っているのか聞きたくなります。現在食料品は軽減税率制度で8パーセントとなっていますが、それ以外の品目は10%で、確かに高額の買い物をしたときはその額の大きさに驚くこともあります。
 一部野党のみなさまの言われるとおりに(消費税の廃止は論外ですが)消費税を一律5%に引き下げた場合、どのようなことになるのか、これは国の歳入を見れば明らかです。
 額が大き過ぎてピンと来ませんのでかなりアバウトに述べますと、令和7年度の一般会計の予算は約116兆円です。主な税収(四捨五入)は大きな順から、消費税25兆円(22%)、所得税22兆円(20%)、法人税19兆円(16%)、諸税その他収入20兆円(17%)、そして一番大きいのは国の借金である公債金29兆円(25%) 借金も収入の扱いになるのは驚きですがここでは述べません。
 消費税10%の使途は決まっており、国の取り分7.8%のほとんどは社会保障4経費(年金、医療、介護、子ども子育て支援)4:4:1:1の割合で使われます。公約どおり消費税を一律5%に引き下げれば、12.5兆円の社会保障の財源が消えます。現状の水準を維持するのであれば所得税を引き上げ、法人税を引き上げ、諸税(相続税、酒税、たばこ税、揮発油税)も当然引き上げられ、国の借金(赤字国債)はさらに嵩み将来の国民に重くのしかかります。消費減税の恩恵を被る以上に主要の税徴収額の引き上げは多岐に及ぶので国民はさらなる重税にあえぐこととなるのです。
 消費税を減税すればこのようなデメリットを伴うことを我々は知っておく必要があります。
 聞かれなかったから言わなかった、知っていて何も言わずただ消費税の減税を唱えている党首が仮にいるのであれば国の舵取りを執る資格はありません。