海水面の上昇

 2019年5月オホーツク海沿岸の「エサンベ鼻北小島」が近年見当たらないと地域住民からの情報があり、海上保安庁による調査が実施されました。
 この小島は猿払村沿岸から沖合約500mに位置し、1987年の測量では平均海面高は約1.4mあり、海図や国土地理院にも記載のある立派な「島」でしたが、その後の同庁による調査の結果、「エサンベ鼻北小島の位置付近では島は存在せず、非常に水深の浅い浅瀬が存在することが判明しました。」と発表され、事実上の海没が確認されました。原因は流氷、波浪の浸食等言われていますが、主たる要因は連続した海水面の上昇に起因していることが考えられます。
 気象庁のウェブサイトをみますと、「2020年の日本沿岸の海面水位は、平年値(1981~2010年平均)と比べて87mm高く、統計を開始した1906年以降で第1位の値を更新」となっており、私の住む登別地区にある「登別漁港」も若干の地盤沈下もあると予想されますが、台風接近と満潮時が重なるとの岸壁の水平面まで海水が浸かるようになってきました。
 沿岸部海浜の消失は国土の消失を意味するもので、国の策定する国土強靭化計画にも海岸線の保全が含まれていますが、台風等の内水氾濫による近年の災害の激甚化は全国で頻発しており、優先度はこちらの方が高く、海岸線の保全整備事業はまだ進んでいないのが現状です。

 日本沿岸の平均海面水位はこの10年間で8.7㎝上昇している。これは事実です。