立会人

 先月に行われた衆議院議員選挙の開票に伴う立会人(りっかいにん)として、自分の住んでいる市(登別市)の開票作業に立ち会うことになりました。
立会人とは公職選挙法第62条で規定されており、各開票所の開票作業で不正がないかどうかを監視する仕事です。登別市の場合は小選挙区3名、比例3名が立会人でした。

 投票は20時に締め切られます。その後、各投票所から投票箱が開票所(登別市は総合体育館)に集められ、21時に開票作業が始まります。テーブルを並べ約2m×7mの作業台を2ヵ所(小選挙区用、比例代表用)作り、そこにシートを敷き、投票箱を逆さにして一斉に票が出されます。膨大な量を大勢の市役所職員が手分けして、分類作業を始めます。候補者名を識別する機械に通され、候補者名の書いた籠に入れられ、さらに複数の職員のチェックし100枚一束になったものを担当者が捺印します。職員がその束を3~5束運んできますので、それに立会人が捺印し、手元の候補者別の得票計算書にも捺印します、つまり手元にある計算書の捺印の数が得票数であり、立会人は各候補の得票状況がリアルタイムに把握できます。22時の段階で各候補者の得票枚数が館内で放送されます。登別市は自民党公認候補が終始リードし、希望の党候補がそれを追う展開で、開票作業がほぼ終了したのは23時過ぎでした。
 無効投票数は592票あり、内訳で多い順としては白紙投票が375票、雑事を記載したもの154票、候補者以外の名を記載したもの44票でした。候補者以外の名で記載の多いものは阿部晋三(殆ど安倍の字が違っていた)、松山千春(共産党候補名と類似)や、歴史上の人物名などが多かったと記憶しています。

 選挙結果は報道等で発表されたとおりですが、立会人をしながら思ったことは、このITや各種エレクトロニクスが発達した現代において、前世紀から営々と続く古式蒼然とした開票作業、さらには候補者の名前を紙に書いて箱に入れる投票という作業自体をそろそろ見直す時期にきているのではないかという事です。
日本では高齢の方でも日常生活の中でATM等の操作は普通に行っていますので、デザイン、操作方法も共通性を持たせ、各候補者の名前のボタンを押す等の投票方式を採用すれば、候補者毎に押された数がカウントされ、ホストコンピュータ等に集積させますと当選の可否は午後には判明し、20時には投票及び開票作業は同時に終了します。また誤字による無効投票の防止にもなります。システムの開発費や設備投資等の初期費用は掛かりますが、その後は開票に係る膨大な人的労力、人件費、時間の削減につながり、かなり早い段階で初期投資費用等はペイできることでしょう。

 日本は戦後、前例のない事を行うことには慎重になりましたから、今後アメリカやEU各国が、ITもしくは機械式投票方式に舵をきれば、日本も導入を検討し始めるに違いありません。