5月中旬の話です。 午後5時頃、車にて帰宅途中に、道道2号線の中登別桜並木付近で、路肩の縁石上に書類が風にあおられているのを発見しました。停車し確認したところ、その書類はレンタカー契約書の写しであり、さらに書類の上に長方形の黒色の財布が置かれてありました。一応財布の中を確認させてもらうと、免許証、クレジットカードを始めとする各種カードが約10枚と、少なくはない現金が入っていました。なぜこれらが縁石に置かれていたのかは不明ですが、免許証とレンタカー契約書に記載の住所氏名は一致しており、この人物が置き忘れたものに違いありません。東京都在住30代前半の男性でした。警察に届けることも考えましたが、登別温泉に宿泊している公算が高いことから、とりあえず記載の番号に連絡すると 留守電になっており、とりあえず用件を伝え電話を切りました。
30分経っても何ら返信がないことから、再度連絡したところ、男性が出ました。相手の名前を確認しレンタカー契約書と財布を拾ったこと、宿泊先が登別温泉なら、これから届けに行くことを伝えました(拙宅から登別温泉までは車で5~6分)。
男性は私に礼の言葉を申したもののあまり感情がこもっていません。また登別から離れた場所におり、すぐには引き取りに来られないとの事。宿泊先を聞くと(仮称)Pホテルだと言うので、それではPホテルのフロントに届けて置くことを伝え電話を切りました。
Pホテルのフロントに行き、宿泊者の〇〇さんにこれを届けてほしいと依頼しました。
しかし「本日は〇〇様名での宿泊者はございません」との返答。対応に窮した私は再度〇〇氏に連絡したがまた留守電、このまま財布を預かっているわけにも行かず、10分後再連絡すると漸く繋がり、私は今Pホテルにいるが、〇〇の名前がないと言われたことを伝えると、何から何まですみませんと言い、ホテルには同行者名でチェックインしているとの言葉に、「最初からそれを言え」と思いながら、告げられた氏名の同室者〇〇にこれを渡してほしいとフロントマンに伝え、併せて自分の名刺の裏に 財布の中身を確認してほしい事を記入し、ホテルを後にしました。財布を拾って1時間以上が経過していました。
その後〇〇氏から連絡が来ることはありませんでした。
私自身の東京在住の経験上、これが都内であれば財布が何の被害もなく手元に戻ってくる可能性は極めて低く、〇〇氏に対しては30歳を過ぎて、さらに都内在住でありながら自らの僥倖を礼状ひとつに込めることができないのか、忙しいのであれば電話1本でも済むのにと思いながら、このような道徳観の不足した人間を形成した要因は何なのか、親の教育なのか、学校の教育なのか、環境であるのか、元より本人の資質なのかは伺い知ることはできません。いずれにしてもこのような人間がいるのは紛れもない事実です。
学問を教えることは重要ですが、人間としてもっと大切な事を教えておく必要があるのではないかと感じた出来事でした。