私たちを取り巻く様々なものは、年々ハイテク化、電子制御化が進んでいますが、その中でも長く変わらない部分があります。
鉄道ではフランスのTGVや日本の新幹線は時速約300㎞/hで疾走しています。しかし、盛られた砂利に並べた枕木(現在はコンクリートが主流)に敷設されたレール上を走行する基本構造は18世紀後半の産業革命の時代に確立されたもので、現在も大きくは変わっていません。
車輪を使わない新技術は磁気浮上式(ドイツのトランスラピット方式、日本のリニア方式)があり、いずれも500㎞/hを超えますが、これらの普及には巨額のインフラ投資が必要であり、従来の方式は今後も続くと考えられます。
次は自動車のタイヤでしょうか、現在の空気入りタイヤが生まれたのは1888年、イギリスの獣医ダンロップが息子の自転車タイヤに使ったのが創始とされており、自動車に転用したのはフランスのミシュランです。自動車も年々進化していますが、路面と接する部分は、幅の広さ、扁平率、含有素材の変遷はあるもののゴム製のタイヤであることは変わりありません。
ご存知のとおり、ミシュランガイドはタイヤメーカーのミシュランが、旅のガイドブックを刊行することにより長距離走行でタイヤの摩耗を助長させ、自社商品の購入促進を意図したものです。
火力発電所、原子力発電所もボイラーでお湯を沸かし、発生蒸気の圧力で羽根車(タービン)を回す原理は蒸気機関車と同一です。銃器も、火薬を鉄筒内で爆発させ、その圧力で弾丸を飛ばす基本原理は変わりなく、火薬を直接装填から薬莢装填への進化はありますが、火縄銃と共通点は現在も多々あります。傘もそうでしょう、探せばまだまだあると思われます。
私を含む議員にとって選挙、投票は特別な思いがあります。国政選挙、地方選挙等様々な選挙がありますが、どのような選挙であれ、候補者名を用紙に記入する点では明治から現在に至るまでその手法に大きな変化はありません。
新たな方法として「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律」いわゆる電磁記録投票法(平成14年2月1日施行)があり、当該条例を定めた自治体によっては電磁記録投票機を用いた投票ができるようになっています。
いくつかの自治体が条例を制定し電子投票制度を導入し、25の電子選挙が実施されましたが、現在はコスト面等を鑑み電子投票条例の廃止を決めた自治体も散見されています。
何事も「温故知新」とは行かないこともあるようです。