古き因習

 かつて議会の一般質問の大綱において、駅構内の陸橋(跨線橋)について調査したことがあります。私の住む登別は年間約400万人の観光客が訪れ、JRで来る観光客も多くおります。
 線路対岸のホームで降車し、陸橋を渡り駅舎へと向かうのは当然ありふれた光景ですが、登別駅にはエスカレーターやエレベーター設置されていませんので、降車する観光客の多くは大型の荷物を抱え、苦労しながら階段を昇降しています。2月の「春節」頃には中華系観光客の混雑もピークに達し、季節的な労働力としてポーターサービスという荷物運搬の手伝いをするスタッフがいますが限られた人数であり、陸橋を使う大勢の観光客にその恩恵が等しく行きわたる訳もなく、問題の抜本的解決には至っておりません。

 エレベーター等の設置には2億円以上の建設費用が掛かり(エスカレーターは1日乗降数が設置基準数を満たしておらず議論の外)、財政状況の厳しい登別市やJR側も建設費用の確保に苦渋し、双方の協議は平行線をたどっています。(最近ホーム地盤地質調査実施)
 エレベーター設置に代わる策としていろいろ調べた結果、「駅構内の踏切」の設置の考えに至りました。建設費用が安価で、誰もが長い階段を昇降せず体の負担軽減が享受でき、しかも世界中の人々も一目でわかる、いわゆる「ユニバーサルデザイン」です。

 この可能性をJR九州とJR北海道に問い合わせました。この経過は長くなるので機会があればどこかで記述しますが、現在は双方とも別会社でありますが、私の電話での問い合わせに対して、両社の対応は驚くべき相似性を持っていました。結論としてJR北海道の回答は、踏切を一つでも減らしたい方向性の中、駅構内とはいえ新たに踏切を構築することは考えられないとのこと。JR九州からは、ついに回答がくることはありませんでした。
 利用客の利便性より組織の隠蔽体質、情報の非公開、事なかれ主義を重視する傾向。
 日本国有鉄道の残像は今も脈々と受け継がれています。