先日、室蘭行の路線バスを利用した時の出来事です。
登別温泉発、室蘭行の路線バス(道南バス)は現在、登別駅を経由して運行しています。
バスが登別駅バス停に停車すると数名の旅行客が降車していきました。そして2名の夫婦と思われる東南アジア系の観光客が大型のスーツケースを携え乗車してきました。
登別駅から乗る観光客(外国人を含め)の殆どは登別温泉方面を目的としています。このバスは行き先が違います。バスはそのまま発車しました。恥ずかしながら私はその時、何も感じませんでした。
まもなくして、乗客の一人の女性(60代位)が「運転手さん、この外人さん達はこのバスが登別温泉に行くと思っているのじゃないかしら?」と声が上がりました。すると運転手はバスを静かに停車させ運転席を離れて、この2名の旅行客に日本語でどこに行く予定か尋ねましたが、日本語が通じている様子はありません。成り行きを見守っていると、一人の50代男性乗客が、英語で行き先を尋ねました。すると観光客から「ジダイムラ」と片言の返答がありました。
男性乗客はこの観光客に、このバスは行き先が違うこと、「時代村」へ行くには登別温泉行のバスに乗車することを英語で伝えると了解したようで、そこで降車しようとしました。
運転手は観光客にそのまま座って待つよう促し、バスを発車させました。バスは駅ロータリーを回り直して、再度登別駅バス停に戻り、ここで降車するよう伝えました。乗客による見事な連携は考えて出来るものではありません、心の発露ともいえる親切の連鎖は伝わったようです。この観光客はサンキューを数回言いながら、まさに満面の笑顔でバスを降りていきました。
この観光客にとって日本旅行でのこの一コマは、夫婦の思い出として長く心に残るに違いありません。そして本国に帰って友人等、親しい方々にこの出来事を話すことでしょう。この出来事は世界のどこかに日本の、そして北海道のファンを何名か増やすことは間違いなさそうです。