最終処分場

 最近各地で原発再稼働の動きが徐々に出てきていますが、国内には高レベル放射性廃棄物の最終処分場は未だありません、既に発生した高レベル廃棄物は、ガラス固化体され青森県六ヶ所村の、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで一時貯蔵されています。
最終処分の研究を目的とした「深地層処分研究施設」が幌延町にあり、地下350m調査坑道が掘削されています。「放射性廃棄物を持ち込むことや使用することはしません」「研究終了後は、地下施設を埋め戻します」「研究実施区域を放射性廃棄物の最終処分場とせず、中間貯蔵施設も設置しません」との約束の下、地下施設整備の名目で現在も掘削作業が進められています。

 今後日本の気候は地球温暖化(灼熱化)の影響で数十年後九州、四国は亜熱帯化し本州はモンスーンが激しくなり、夏季は気温40℃を超える日が増えることが予測されています。将来的には北海道が日本で最も居住に最適な地として、西日本、首都圏から多くの日本人の移住が予測されます。これからの日本人のいわゆる「約束の地」となりうる可能性のある北の大地は、来るべき日に備え大切に温存する必要があります。
 地下とはいえ数万年経てやっと無害化する廃棄物が貯蔵されることを考えた場合、その情報が確実に継承されていくのか(数万年後も人類が存在しているか不明)を含め強い危機感を感じます。我々の世代が生み出した高レベル放射性廃棄物という負の遺産を未来の同胞に背負わせてはなりません。
また福島第1原発の廃炉作業も収束までには道遠く、放射能汚染水の貯蔵タンクもたまるばかり、地下汚染水の凍土遮水壁もうまく凍結が進んでいないようです、この地下汚染水の流れ出る先はどこなのでしょう。この状態で再稼働議論、ましてや大間は工事再開が2年後に延期されたとはいえ、新たな原発が建設中である事実をどう理解すべきでしょうか。

 我々の祖先は長い時間試行錯誤と苦痛を重ねながら火を制御することに成功し、類人猿からの脱却を果たし、人類としての一歩を踏み始めました。原子力、核は現在の人類にとって「第二の火」であり、核分裂、核融合の完全制御は我々に新たな時代をもたらす可能性があります。ユーラシア大陸、ヨーロッパ地域は中世の石積の建物が現在も多く残っていることを見てわかるように、地盤は安定しており極めて地震の少ない地域となっています。原発の建設や臨界の制御技術研究はそのような地域で行われることが前提であるといえます。

 原発は構造上、大量の冷却水が必要であり、我が国ではほとんど海岸線に建設されています。しかし日本列島はアムールプレート、フィリピン海プレート、北米プレート、太平洋プレートの沈み込み帯に隣接しており、地質学的に大規模な地震津波の発生は必然的で、活断層が無数に存在します。南海トラフは今後30年以内にマグニチュード8‐9クラスの地震が起きる確率は60‐70%、国難ともいえる未曽有の被害が予測されています。
 以上のことから、今後技術が進み臨界の完全制御が確立するまでは国内の原発は稼働すべきではなく、また国土の特性である脆弱性の高い地質的構造に鑑み、原子力発電は残念ながら我が国にはマッチしない発電方法であることを認識するべきであると考えます。